2010年5月10日月曜日

白馬岳主稜~白馬沢左俣滑降

Y田さんのお誘いにて。
白馬岳主稜を登って白馬沢左俣を滑降というクライム&ライド的なスタイル。50mロープ、ダブルアックスを装備。
主稜の雪庇の抜けはトンネルが出来ているという情報。
雪庇が割れたという情報。
トンネルは板を担いで通過出来るのか?
雨と高温は過去の雪庇崩落事故と状況が似ているという懸念。
などなど。

すでに雪庇が崩れていれば危険は少ないが、現地で見てみると立派な雪庇がせり出しているのがわかる。雪庇を抜けるかどうかは現場判断になる。


■5月9日(日)晴れ
■メンバー:Y田さん、私
■タイム:4:00猿倉~5:00白馬尻~10:00白馬岳~11:10白馬尻~11:40猿倉

土曜日の昼に都内を主発して夕方猿倉入り。駐車場でテント泊。

4時、ヘッデンをつけてスキーで出発。すでに幾パーティーもが出発しているのがわかる。白馬尻に移動するまでの間で明るくなる。主稜にはいくつかのパーティーが取り付いているのが見える。

主稜の取付きで板を担いでアイゼンにチェンジ。シールはもう使わないということで、取付きにデポ。急な雪壁を登って標高をあげる。まだ緩んでいない雪。トレースはしっかりついていて、アイゼンはばっちり決まる。

人気ルートゆえ何人も登っているが、スキーを担いでいるのはわれわれだけのようだ。

急な雪壁で標高を稼いで、雪の稜線に上がったところでダブルアックスに切り替える。稜線上の『アップ』『ダウン』。『ダウン』がことのほか少なく『アップ』で標高をぐんぐん上げる。とろろどころ雪が切れていてワンポイントで岩登りや木登りを駆使する。担いだ板が邪魔になるようなモノは少ししか無い。

主稜の途中から撮影した白馬岳。写真では見にくいが、ピークには大きく雪庇が張り出している。

ナイフリッジも、トレースばっちり。担ぎスキーの最大の弱点の風も全く無い。

雪を確かめながらの歩行。雪は懸念したほど緩んでいない。気温も不快なほどは高くはない。主稜から白馬沢側にせり出す雪庇も割れているところはあっても接合はしっかりしている。この様子なら頂上の雪庇も崩れることはまずないとの確信を得る。

あっという間に頂上直下の雪壁。

先行パーティーがロープを出して登る。雪庇の抜け口にはトンネル。

一度はロープを準備したものの、ダブルアックスだし、トレースもばっちりあるので、ここはノーロープで行こうという結論。
ガシガシ登って、雪庇のトンネルを超える。

(Y田さん撮影)
板を担いでも通れる雪庇のトンネル。最初にここを掘った方に感謝です。
トンネルを抜けると20mで白馬岳ピーク。素敵なロケーション。風が強いのでそそくさとピークをあとにする。

ピーク周辺は巨大な雪庇がせり出しているのでエントリーは不可。

稜線上からちょうど、登ってきた雪壁が横から見える。
稜線通しで北に300mくらい下ったところでエントリーできるようだ。

準備を終えていざ。(Y田さん撮影)
ハーネスは装着したまま。ピッケルを1本腰に差して滑降準備完了。

エントリーすると、稜線上の強風は嘘のように。気温はむしろ暑いくらい。すぐに頂上直下からのラインに合流する。


ターンする度にザラメのスラフが流れる。ザラメのスラフはいつまでもいつまでも流れ続ける。流れた跡は深く溝を刻む。連続ターンをすると自分で流したスラフに足元をすくわれる。なかなか快適には滑らせてくれない斜面。

白馬沢左俣を上から。(Y田さん撮影)

フォールラインのノドは通過できない。右にトラバースしてラインを変える。リッジの乗越は雪面が固いのでピッケルに持ち替える。まだまだ続く狭い急斜面。スラフをよけながらようやく、傾斜がゆるんだ広いデブリの斜面に出る。

白馬沢を下から。

デブリを処理し、ようやく快適なザラメ斜面。快適な斜面は短い。白馬尻にてシールを回収しながら大休止。あとは10分くらい滑って猿倉へ。

2010年5月8日土曜日

北アルプススキー縦走

N島さんのお誘いを受け、Y沢さんと3人で行ったゴールデンウィーク山行。4月30日に休暇を取って7連休とし、うち6日を使って行ってきました。長い行程。営業小屋を積極的に使うという超豪華山行。

上高地から入って馬場島に降りる計画。
当初は黒部川を2度横断するという予定でしたが、思いのほか黒部川周辺の雪が少ないことが稜線から見てわかり、そのまま稜線を辿る事になりました。
それでも、黒部川の源流域に立ち入ったのは初めてのことで、その日本離れしたスケールには絶句。


■メンバー:N島さん(山スキー)、Y沢さん(テレマーク)、私(山スキー)
■4月29日(木)雨のちくもり
■タイム:6:10上高地~6:50明神館(2時間雨宿り)~10:30横尾~12:30槍沢ロッジ~16:50槍ヶ岳山荘(泊)

引用元:株式会社ウェザーマップ『気象人

新宿発の夜行バスに乗って上高地着。寝不足ながらもビーチサンダルのままスタートする。情報によれば2日前の時期はずれの降雪による雪崩の危険で涸沢は立入禁止らしい。これから登ろうとする槍沢も情報収集が必須。

寒冷前線通過に伴なう降雨という予報通りに、明神館に到着とともに降雨。止むまで2時間と見て、それまで暖かい蕎麦を食べながら雨宿りする。雨は次第に雪へと、そして吹雪へと変わる。

2時間という予想は虚しくも外れ、降り続く雪。ここであまり時間を費やすわけにもいかず、先を目指す。さすがにここからは兼用靴に替える。しかもY沢さん直伝の兼用靴のベロを外しての歩行。これがなんとも歩きやすい。

雨はすぐに小康状態となり、ついには止む。横尾を過ぎると道にも雪が目立つ。それでもスキー歩行にはまだまだ少ない。槍沢ロッジで大休止の後、ようやくスキーを装着。やはりツボに比べるとスキーの機動力の高さはすごい。

(N島さん撮影)

睡眠不足からくる疲労と強風でペースが一気に落ちたが、なんとか5時前に槍ヶ岳山荘に到着。なんと宿泊客は我々3人のみ。ビール一杯でいい感じで酔っ払う。夕食をたべて仮眠のつもりが本気寝。目覚めときはすでに消灯間近。


■4月30日(金)ホワイトアウト
■タイム:7:00槍ヶ岳山荘~槍ヶ岳(途中敗退)~8:00山荘~9:00千丈沢滑降~9:30四ノ沢~硫黄尾根~14:30双六小屋(大休止)~モミ沢滑降~15:30~二俣(泊)

引用元:株式会社ウェザーマップ『気象人

寒気が居座る。すっきりとした晴れは望めない。
すぐ近くなのに槍ヶ岳がくっきり見えない。朝食をたべてまずは空身で槍ヶ岳を目指す。しかし時間はまだ早いため雪は固く、ダブルアックスでないと危険と判断し、潔く引き返す。

ふたたび小屋でゆっくりし、9時に行動開始。やはり視界は悪いが、千丈沢に滑降開始。斜面は覚悟していたほどは固くはないと言える。標高を落とすにしたがって徐々に視界は晴れてくる。

パックパウダーをわずかに楽しむ。
(N島さん撮影)

1000mの標高差をあっという間に滑り降り、硫黄尾根に向かって四ノ沢を登りだす。途中から板をかついで上り詰めたのは確かに硫黄尾根ではあるが西鎌尾根にほど近い位置。ホワイトアウトのため、正確に位置を把握するのはなかなか難しかった。
西鎌尾根を西寄りの北に向かって歩き出す。尾根に寄り過ぎると雪庇になっていて危険なのでトラバース気味に歩く。風は強い。この状況でホワイトアウトではルートファインディングがむずかしい。

小さな黒い点。ホワイトアウトには貴重な目印。岩が露出しているのかと思って近づくと、ちいさなちいさな小鳥が雪面で必死に吹雪に耐えている。こんな小さな鳥たちさえ耐えているんだからと。勇気をもらった瞬間ではあった。しかし、ほんのちょっと進んだところにはまた別の光景が広がていた。小鳥たちがみな、雪に埋もれて死んでいるのだ。


ルートを間違えそうになりながらも、一瞬の晴れ間に見えた双六小屋に向かって進む。冬季小屋に一旦入る。すでに2人がいて、ほかに2人が泊まるために荷物をデポしていた。まだ時間があったので、我々は先に進むことにした。

モミ沢を滑降。して樅沢出合へ。地図には『モミ沢』と『樅沢』と別々に書いてあるが、読みはどちらも『もみさわ』なのだろうか。

とにかくここでテント泊。水も取れる。

■5月1日(土)くもりのち晴れ
■タイム:5:10出発~弥助沢~6:50三俣山荘~三俣蓮華トラバース~8:40 2661ピーク~9:00黒部五郎小屋~11:10黒部五郎岳~赤木平~14:30薬師沢~16:00太郎平小屋(泊)

引用元:株式会社ウェザーマップ『気象人

シュラフが薄かったか。寒くてなかなか寝入れず。それでも夜のうちに気温が上がったようで、自然と眠っていたようだ。3時過ぎに起床。出発の頃はすでにヘッデンがいらない明るさ。弥助沢を登って三俣山荘へ。

冬期に泊まれるかどうかは未確認ではあったが、当初の予定では三俣山荘に泊まる予定だった。今回偵察してみたが、どうやらここは冬期には泊まれないらしい。風が強いので長居は無用。

三俣蓮華は視界が悪いなかトラバース。途中、クトーが大活躍。クトーを持たないY沢さんはアイゼンを装着しての担ぎ。

黒部五郎小屋までの滑降は初めはガリガリ。下は快適パウダー。
小屋までおりると晴天。強い日差しがむしろ気持ちいい。

しばらく休憩の後、黒部五郎のカールに向かって登り始める。

(N島さん撮影)

右の尾根への登りはアイスバーンに乗った柔らかい雪というコンディション。ここでもクトーが大活躍。
黒部五郎岳ピーク手前のコルにてウマ沢を滑降開始。

黒部源流域を眺めながらの滑降。


登り返して赤木沢原頭滑降~赤木平へ登り返し~薬師沢左股滑降と登り下りを繰り返して、本日最後の登りは薬師沢から太郎平小屋まで。薬師沢は出合から少し上流で多少割れていて渡るのに場所を選んだだけで、それより上は完全に埋まっていた。
シールがよく効く雪を直登。薬師沢を登り上げて太郎兵衛平に上がるとすぐに小屋が見えて本日の山行終了。なんたるタイミングか、ちょうど飛騨トンネルから北ノ俣経由のM浦さんも同時に小屋入り。

■5月2日(日)晴れ
■タイム:7:30太郎平小屋出発~10:00薬師岳~11:30 2832ピーク~12:00間山~15:10越中沢岳~ヌクイ谷滑降~18:00五色ヶ原山荘(泊)

引用元:株式会社ウェザーマップ『気象人


7:00の朝食で腹を満たし、シールをつけて行動開始。M浦さんは軽快に滑降して薬師峠まで行く。表面は固くクトー無しでしばらく我慢したが、結局クトーをつける。クトーをつけると一気に楽になる。もっと早くに付ければいいものを。クトーをつけるか付けないかの判断は難しい。
Y沢さんはクトー無しでも、避難小屋手前の急登を少し担いだだけで登りきってしまう。

避難小屋からは板を担いで薬師岳ピークへ。


思えばピークを踏んだのは、この山行4日目にして初めてではないか。

さて、ここからの行動であるが。
予定では、金作谷を滑り降りて黒部川横断、もう一回広河原付近で横断ということだったが。薬師岳から見える広河原は到底渡渉できる状態ではないこが明らかだった。黒部川を絡めるのは諦めて、素直に稜線を辿ることに決めた。

板を担いだまま2832ピークへ。そこから滑降開始。諦めきれず何度も黒部川をのぞくが、渡渉できないという結論は変わらず。

無線交信時刻の12時が近づき間山のピークに向かって滑り込むと、なんとそこには室堂からオートルートを開始したY田パーティーがいる。これもまたすごい絶妙なタイミング。

他パーティーとの交信は取れなかった。Y田パーティーとはお互いの健闘を祈ってそれぞれの方向に別れる。

Y田パーティーと分かれる(N島さん撮影)

我々はスゴ乗越まで滑ってシールに替える。シールでアップダウンを繰り返し、スゴ沢の頭手前で板を担ぐ。

越中沢岳への登りは長い。急なガレ場を登り、ようやく到着。五色ヶ原の小屋も見える。休憩をとってヌクイ沢に滑り込む。


表面はシュカブラで固い。

(N島さん撮影)

下部でようやく雪が緩む。


最後の登り返しは、日の入りとの追いかけっこ。


(N島さん撮影)

日が沈む前に五色ヶ原山荘に到着。小屋開けのスタッフがいて素泊まりで泊めてもらう。


■5月3日(月)晴れ
■タイム:7:40五色ヶ原山荘~8:40獅子岳~9:20御山谷~10:40一ノ越(大休止)~12:00雄山~13:00雷鳥沢ヒュッテ(泊)

引用元:株式会社ウェザーマップ『気象人

この日は室堂までということでのんびり出発。ザラ峠までは滑って移動して、そこから板を担いで登りだす。先行の4人組を追い越し、獅子岳へ。ずいぶん速いペースだ。

絶妙なザラメを御山谷まで落とす。

(N島さん撮影)

御山谷をひたすら登って一ノ越へ。ここの小屋は何もかにも格安で販売している。カップラーメンを食べながら大休止。

板を担いで雄山へと。これもN島さんの超ハイペースに引っ張られる。

雄山ピークを眺める(N島さん撮影)

雄山神社を拝んで、シュプールだらけの固い山崎カールへ。そのまま雷鳥沢ヒュッテへと流れ込む。
温泉で5日ぶんの汗を流し、ビールを飲んで、豪華食事に腹を満たす。疲れが出たろうか、私は熱が出て食事のあとすぐに眠りに入った。


■5月4日(火)くもりのち晴れ
■タイム:7:30雷鳥沢ヒュッテ~9:30奥大日岳~12:00白萩発電所前の橋

引用元:株式会社ウェザーマップ『気象人

スッキリしない天気。奥大日は霧の中。ご飯をたべて出発。気温がやたら高い。風はない。霧はかかっているが薄く、青空が透けて見える。じきに晴れることがわかる。

(N島さん撮影)

途中いやらしいトラバースを交えて奥大日へ。
そしていよいよピークの雪庇がきれたところからカスミ谷へドロップ。


傾斜はそれほど無い。
別の場所の雪庇が崩れる鴨しれない。長居はしたくない。殺鼠と通り抜けたいが、そこは絶悪の雪のコンディション。解けた新雪で全然滑らない。転びそうになるのを耐えるのがやっと。

なんとか広い大地に抜けて休憩。

そこから先はいつ終わるともしれないデブリ地獄。


デブリに散々悩まされて右俣まで。あとはなんとかこなして林道に出る。林道も延々と歩き、馬場島線まで出ると、一足先に下山していろいろ手配してくれたN島さんがタクシーとともに迎に来てくれた。




2010年4月20日火曜日

剣岳~池ノ谷右俣滑降

東京に季節外れの雪をもたらした低気圧と入れ替わりに高気圧がやってくる。
土曜の午後から日曜にかけて晴れの予報。

好天が約束された週末などいつ以来か。記憶に無いほど今シーズンの冬の天候は不安定だったように思う。それにしても今年の天気は異常だ(と毎年言っているが)。先週は3000m急の山々でも雨が降っている。そしてこのところ急に冷え込んで降雪があった。その影響がどう出ることか。

予定外のトラブルで出鼻をくじかれる恰好になったが、そこはなんとかリカバリ。記憶に残る山行となった。

■4月17日(土) 晴れ
7:30新宿~13:20信濃大町~14:00扇沢~15:40室堂~18:00剱御前小舎~18:30剣沢(泊)
■メンバー
N島さん、私

4月17日土曜日の朝、東京は雪。41年ぶりに観測史上タイ記録となる遅い降雪だという。そんな事情もあり、ビーチサンダルはヤメにして兼用靴で自宅を出る。

新宿であずさ3号に乗車。N島さんや同日程で剣沢入りするパーティーの4名がそれぞれの駅で同じ電車に乗り込む。それほど混んでいない車内で6人が一堂に会して今回の計画のあれこれを話しあう。

線路内倒木により復旧見込み無しの社内アナウンスが流れる。塩山駅に停車したまま時間が過ぎる。もともと早いとは言えない時間の室堂入りなので余計に気が急く。どうにか2時間遅れで塩山駅を出発し、2時間半遅れで信濃大町駅に到着。もちろん特急料金は払戻された。扇沢行きのバスはあずさ3号の到着を待っていてくれた。

午後2時扇沢発のトローリーバスに乗り込んで喜んだのもつかの間、黒部平のロープウェイで1時間待ちだという。やはり立山黒部アルペンルートはこのロープウェイが鬼門だと。嘆いてもしかたがないので定番の白えびかき揚げそばをたいらげる。

室堂には4時前に到着。雪は多くほどよく新雪がのっている。周囲の山々には滑降のトレースが見えるが思いのほか少ない。人為的な点発生雪崩の跡が見えるものの、危険な雪崩の兆候は見られない。


7m以上ある積雪の地面まで穴を掘るという仲間に挨拶をかわして剣沢へ向けて予定を決行する。

穴掘りの絵

この時間に登っている人はごく僅かだ。室堂乗越付近に見えた撮影隊らしきパーティーと、雷鳥沢上部ですれ違った滑降するパーティー。
われわれはひたすら登る。

(N島さん撮影)

剱御前の小屋にきてようやく剣岳に対面。


すでに夕暮れに近く、空はかすかに赤らんでいる。

誰もいない剱沢を6人で悠々と滑降。



平蔵谷出合でのビバークを予定。実は長次郎谷の出合でビバークしていたことは翌日になって気づいた。

■4月18日(日) 晴れ 稜線で風強い
5:20長次郎谷出合~8:30長次郎谷右股コル~9:40剣岳~池ノ谷右股滑降~13:20馬場島

ツエルトと薄いシュラフでのビバークは懸念したほどの寒さではなかった。ここで小黒部谷を滑降するパーティーの4人と分かれる。すでにヘッデンは必要ない明るさ。

登り始めた長次郎谷は上部にはすでに陽が差している。暖まって緩むと雪崩る雪ではあるが、この時間帯は問題ない。
標高をあげるにつれ、沈まないナカ雪、沈むモナカ雪、アイスバーンに乗った粉雪へと変わっていく。


ちょうど熊野岩のあたりで日射を受ける。急に暑くなる。


去年滑った剣岳北壁。雪は多い。
稜線では強風で雪が舞う。


長次郎谷を詰め上がる少し手前で板を担いでアイゼンに履き替える。風の強い稜線での作業を減らすべく、ここでシールもはずしハーネスを装着する。
膝ラッセルで稜線に上がる。

頂上直下の雪壁。

ほんの20mくらいではあるが、今シーズン冬の登攀をほとんどやってきてなかった私には厳しいものになった。新しい雪は全部風で吹き飛ばされ、先週の雨で凍結した固い雪面が露出している。

ピッケル1本でじわりじわり登りながら、先にフィックスロープまで登って確保(?)したN島さんにロープを垂らしてもらった。

雪壁を登り終え、剣の頂上まではステップを踏むのみ。
(N島さん撮影)


剣岳のピークでポーズ(N島さん)。

風が強いのでそそくさとピークをあとにする。
上部は雪がついていないため、剣岳ピークから少し下った平らな場所からさらに池ノ谷へクライムダウンする。岩場で雪が吹き溜まった場所で板を装着。


新しい雪は薄く、その下はガリガリの氷。氷が露出している部分もある。新しい雪が載っていない部分は滑降不可。氷の箇所を横滑りで下降していたN島さんは脚をとられて滑落。あっという間に急斜面に消えてく。急いで追いつこうにも、固い斜面がそれを許さない。N島さんは斜面の途中で止まっていた。ようやく見えるところに降りたとき、無事の合図を送ってくる。大きな怪我は無いようだ。

行く手は先が急斜面で先が見えない。滑ろうにも雪がついていなければアウト。左のリッジを超えるにも、氷の面が露出しているので滑降してトラバースするのは無理。ここは板を脱いでアイゼンでトラバースすることにした。

リッジを超えてアイゼンのまま、M浦さんの記録によるところの略奪点だろう場所まで下降する。

略奪点にて。

この左には(下から確認したことだが)大きな滝がある。右手には綺麗なスロープ。スキーにはきかえて慎重に滑降再開。

傾斜がいくぶん緩んだこともあり、ようやくの滑降。とはいえ雪は固くパックされているので、なかなか快適に飛ばすことはできない。

人の顔みたいな雪形がN島さんを眺めている。

雪は次第にストップスノーへ。

そして池ノ谷ゴルジュへ突入。なんと先日の雨のせいだろう、ゴルジュ上の雪が全部落ちて谷は綺麗に埋め尽くされている。過去に歩いて通過したN島さんによると、その時はトラック大の雪のブロックが今にも落ちそうにぶら下がっていて、冷や冷やしながら通過したのだという。今回その様相は全く無い。

白萩川に出て、ひとまず危険地帯は突破。

割れた箇所をよけながら通過し、取水口の堰堤と橋で板を外しただけで馬場島へ滑って到着。警備員に挨拶。

まだ開いていないゲートにタクシーは迎に来てくれず、とぼとぼと伊折まで歩き出す。ゲートまでは徒歩1時間半。途中、馬場島荘の小屋開きに着ていた人に拾ってもらいゲートまで。なんと鯖寿司までいただいた。タクシーで上市。温泉に入って富山駅へ。

滑降ルート(N島さん作図)

2010年4月12日月曜日

塩見岳

三峰川林道が4月のこの時期に開放されるということで、塩見バットレスを狙いました。しかし、塩見岳は遠かった。


■4月10日(日) 晴れ(のち山頂で霧)
6:00三峰川林道ゲート~6:40登山道入り口~12:30権右衛門山~15:00 2900地点~2800地点から南荒川~16:00 1900mまで滑降~19:00登山道~20:00三峰川林道ゲート
■メンバー
M浦さん、私

塩見バットレスはM浦さんにとっても課題のルート。これまで時期・ルートを変えて攻め、今回で4度目とのこと。その経験から三峰川林道ゲートが開いた直後が狙い目という。M浦さんの情報により、ゲートが金曜に開いたことを確認し、夜は早めに出発し、早めに寝入る。早起きして、開いたばかりの林道で、まだ落石がところどころに残る林道を経て林道終点の大曲に至る。

準備を終えて出発が6時。もうすっかり明るい。あたりには雪のかけらすら見当たらない。周囲の山々にも雪は無い。ゲートの先はアプローチシューズで歩く。


ゲートから歩くこと約30分。登山道の入口。このあたりまで来てようやく遠くの山に雪の名残を見る。アプローチシューズをデポ。兼用靴に履き替え、登山道をのぼる。整備が行き渡らない不明瞭な登山道は渡渉を交え、ところどころ崩れていてキックステップで歩く。伸び放題の枝にスキー板が引っかかる。

急登を登り、2000mを超えてようやく雪を踏む。スキーで登り始めたのは2100mを越えたあたり。


ところどころ雪が無く、スキーの着脱を繰り返しながら。枝や倒木をよけながら、スキーを履いてもなかなかペースを上げられない。かえって体力消耗したか?
ずいぶん時間をかけて、12:30ようやく2682m権右衛門山に。


権右衛門山から降りたコルでアイゼンに履き替える。きれいに見えていた塩見岳にも霧がかかってきた。残された時間はわずか。疲れたのか標高が高いせいかペースが上がらない。塩見岳が遠い。時間がたつにつれて、霧が濃くなる。頂上までもう少し。天狗岩でタイムアウト。この周辺は絶壁でエントリー不可。少し戻って、塩見小屋付近からエントリー。

デブリが無い。ザラメに少々ストップスノーが乗った感じ。スピードを抑えつつ、あっという間に滑り降りる。バットレス方面からはデブリだらけ。

割れた沢を右岸、左岸と何度か乗り換えて1950m付近で板を担ぐ。あとは延々と3時間ほど河原歩き。渡渉も度々。割りきってザブザブ。暗くなるぎりぎり前になんとか林道に上がる。ヘッデンで林道を歩き、アプローチシューズをピックアップしてようやく兼用靴から解放。さらに林道を歩いて大曲の林道終点駐車場に戻る。距離約21km、標高差約1700m、14時間の行程。