そもそもの間違いのいきさつですが、幕場の天狗の鼻からは主稜が良く見えると思っていた。主稜のピークから稜を目で追って取り付きを確認する。じつはこれが大きな間違いで、天狗の鼻からは、主稜とその手前の稜が重なって見えるため取り付きと思った地点は手前の稜の取り付きだったわけである。
■3月21日(土)晴れ 5:40幕場発~7:30取り付き~15:30天狗尾根~18:50幕場着
まずは最低のコルまで移動。我々が先頭だったが、前日先頭でトレースをつけてくれた2人組パーティーにすぐに追いつかれる。体力、技術ともに彼らは一枚も二枚も上手。ここは先を行ってもらう。ということでまたしてもトレースの恩恵にあずかる。
目的の取り付きまでトラバース。ここはアバランチパス。昨日降った少量の雪がスラフで流れているものの、この日の積雪はおおむね安定していたので大丈夫。スノーコルの灌木に支点を取る。
さて、今回4人に対して2本のロープ。効率よく登るシステムを考えなければならない。実践したのは、
- リードがロープ1本を引き
- 2人目、3人目が中間で登り終えたら
- 4人目を待たず、もう1本のロープで登りだす
- 4人目はフォローで登る
・1P目 雪壁
S山さんが雪壁をリード灌木帯で切る。続いて私、M中さんが中間で登り、次のピッチの準備。ロープをごそごそしているうちにS津さんがフォローで登ってきてしまった。準備に時間かかりすぎです。
・2P目 木登り
私リード。木から雪壁に乗り移ってルンゼを抜けたところで切ってロープをFIX。中間でS山さんが早々に登るも、S津さん木登りに悪戦苦闘。なかなか登って来ないので、私のビレーでS山さんが登り始める。
・3P目 雪壁~灌木帯
S山さんリード。最後の灌木帯に入る急斜面は悪い。ズボズボの雪でスタンスは無いに等しく、アックスをがっちり決めて腕で登る。
・4P目 雪壁
私リード。灌木帯をすぐに抜け、尾根を越えて雪壁。ラッセルのピッチ。支点なし。稜線に上がってスタンディングアックスでビレー。
・ちょっと移動
ロープをたたんで尾根上をちょっと移動。
・5P目 雪壁
S津さんリード。ななめ上にトラバース。スノーバー、灌木を使って支点を取る。
・6P目 雪壁
私リード。右の灌木沿いにリード。
・7P目? 偵察ピッチ
S山さん偵察に繰り出す。頭上に迫る岩壁を登るのだろうか。偵察の結果、無理と見た。左の尾根にトラバースするか?時間切れ間近。尾根を偵察して登れそうになければ敗退。
退色が濃くなってきた。
とりあえず、左の尾根にトラバースできるところまで懸垂下降で降りる。S山さん再びの偵察。結果、尾根を2つ巻けば雪壁を登って稜線に上がれそう。ということで登ることになりました。ここからはスピードアップを図って2パーティーに分ける。はじめからそうしていればもっと早かったかなぁ。
S山さん-M中さんパーティーはM中さんがまだリードはできないのでS山さんが全リード。S津さん-私パーティーはつるべで。雪壁を3P登って稜線に近づいて、いよいよ間違いに気づく。稜線の向こうには主稜が見える。このまま登ると天狗尾根に出る。主稜とは程遠い左端の稜を登っていたことが判明する。
1Pで稜線に登って、固く締まった快適な雪壁を2P登り天狗尾根に出て登攀終了。なんと向こう側には同じ日程で東尾根に登っていた、A津さんN島さんパーティーが第2岩峰を登り終えたのが見える。なんという偶然。手を振ってあいさつ。
あとは天狗の鼻のベースまで下山。途中2回の懸垂下降は這松を掘り出して支点とする。M中さんはまだ歩行に慣れていないのでクライムダウンを交えて降りる。最後はヘッデンを点けて幕場に到着。翌日は下山のみ。宴会して残りの食糧、酒をたいらげる。それにしても昨夜と一転してずいぶんと気温が高い夜だ。
■3月22日(日)雨 8:20幕場発~12:00荒沢出合~13:30大谷原
幕場は雪、下山するにつれて雨。ズブ濡れになって下山。
※事故未遂報告
懸垂下降中にロープすっぽ抜け。斜面が緩かったのでその場で踏みとどまることができましたが、かなり危険。末端を結んでいませんでした。
1 件のコメント:
おお、いつのまにしっかりしたレポート書いてるじゃん。これそのまま会報に使ってよ。
コメントを投稿