2009年8月16日日曜日

小倉谷

悪天の予報で心配しましたが、行動中はなんとか天気がもち、予定通りに山行をこなすことができました。久々に充実です。

今回新調したマテリアルは、FinetrackフラッドラッシュスキンメッシュTシャツ・カム2個(キャメロットC4#0.3、#0.4)・ライフジャケット。
これまで沢の服装にこだわったことがなかったのですが、やはり良いものは良いです。FinetrackフラッドラッシュスキンメッシュTシャツ、濡れを感じさせません。カムはセコく、2個だけ調達しましたが、やはり便利で、この手軽さを知ってしまったら手放せないですね。これまで薄刃ハーケンサイズのリスにしか目が行かなかったのに、今やハーケンを打つことなんて最終選択肢でしかない。不便さや不快さはわりとお金で解決できるんだと改めて実感。


メンバーは、N村さん、タケ、リーダー私。
ルートは、神通川水系金木戸川小倉谷。
本格的な北アの沢は初めて。

行きの交通は、同日程で双六谷に入渓するパーティーに同乗。双六谷パーティーは6人、我々3人の計9人。2台の車で11日夜発。12日朝に金木戸林道ゲートまで車で入りました。双六谷パーティーの皆さん、ありがとうございます。


■8月12日(水)7:30金木戸林道ゲート~8:30金木戸林道第2ゲート~11:20小倉谷出合~16:30大ゴルジュ手前(泊)

車を降りて準備をして林道と山道を歩くこと約4時間で小倉谷出合。途中1時間ほどでゲートがあり運がよければここまで車で入れるとのこと。ここで双六谷パーティーに別れを告げて入渓。

最初の核心は双六谷本流の渡渉。流れは強い。
まずはタケが空身でロープを引いて、流れに乗りながら泳いで対岸に渡る。ザック、N村さん、私の順でロープに引かれて双六谷本流を渡る。

双六谷本流を渡り終えて

水は澄んでいる。河原の石は大きく、いちいち乗り越えるのに体力を要する。私が知っているこれまで登ってきた沢と一味違う。

1時間ほどで現れるトイ状10mの滝は右から巻く。

ゴルジュ帯に入り、4mの滝。記録ではナチプロ+A1で右から越えている。同じライン。チョックストーンにスリングをかけ、さらにカムを使ってスリングアブミで越える。ゴルジュ帯の抜け口には右からの滝。右から巻く。
この先は河原、ナメとつづき、崩壊したような地帯が続く。崩壊したのは最近だろうか。

そろそろ幕場と探そうかという時分に現れた巨岩が積み重なった6mの滝。ボルダームーブを交えて登る。その先を偵察するも、どうやら大ゴルジュ帯に突入しているようだ。倒木にスリングを巻いて、スリングは翌日回収ということでここは懸垂で降りてタープ設営。

翌日の天気は、予報では曇りのち雨。雨が降る前に大ゴルジュ帯は突破したいものだ。夜は暑いくらい。


■8月13日(木)7:00大ゴルジュ帯~10:30大ゴルジュ帯終了~12:30二俣~14:00大滝上部~15:00 1970m地点(泊)

不安な天気。雨がパラつく。本降りになる前に大ゴルジュ帯を突破したいところ。前日に残置したスリングを回収しながら大ゴルジュ帯に突入。


すぐに、長い釜を持つチョックストーン滝が現れる。
ここはタケの機転が功を奏す。

右から取り付いてヘツリながら、途中から左へダイブ!

左の壁に取り付いて登るという技ありのあわせ技1本。ちょっと苦労したのはザックの引き上げ。タケのザックは水流に大いにもまれました。

大ゴルジュ帯の出口、釜の奥に左からの6m滝。ライフジャケットを着けて私がリード。釜は左からヘツリと少しのヘツリ泳ぎで難なく越えられる。滝の水しぶきが当たる位置のカンテには残置ハーケンが2本。ライフジャケットが邪魔して壁に張り付けないのでA0で登る。その後、外傾したバンドを右上するが、スリッピーで怖い。支点も取れず、やたらと時間がかかってしまった。

5mを懸垂で降り、めでたく大ゴルジュ帯突破。天気が崩れる前に突破できてまずは一安心。

いくつもの滝を越え、

40mの滝にいたる。左から高巻く。記録では15分とあるが、我々は20分少々かかった。

まもなく、二俣に到着。
左右から30mの滝が落ち合う。どちらの滝も登れない。本流は右俣。
ここは左の滝を巻いてから尾根を越え、右俣に戻る。

左の滝を巻き終えると、右はガレた斜面。とても登る気にはなれない。その上のナメ滝を登ると、どこからでも尾根を越えて右俣に戻れそう。先には草原状の尾根が見える。草原状の尾根を越えて右俣に戻る選択肢もあったが、ここは目の前のヤブ尾根を越えて行くことにした。後から気づいたが、草原状の尾根を越えて右俣に戻ると大分ショートカットになるようだった。

右俣に戻ると、さらに2段40mの滝。一段目は右側を簡単に登れる。二段目は右のヤブに入って途中から水流のほうに戻り、ヌメった壁を登る。アクアステルスのN村さんは大分苦戦したようだ。おそらく、左俣の草原状の尾根を越えて右俣に戻ると、この滝の上部に抜けるのではないだろうか。

地形図の滝マークに一致する30mの滝は左から巻く。上部は開けていて、ここを幕場としても良さそうだ。

ナメ滝を越えてちょっと行った場所にちょうどいい幕場を見つけたので本日の行動ここまで(15:00)。タープ設営後、土砂降り。行動中にそんなに降らなかっただけラッキー。タケの土木工事で水難の危機は去った。焚き火もできない寒い夜を過ごす。軽量化を優先したあげくの装備、濡れたカッパとシュラフカバーではさすがに寒い。


■8月14日(金)6:30 1970m地点~7:10奥の二俣~11:00稜線~12:00笠ヶ岳山荘~(笠新道)~16:50新穂高温泉

夜は寒く、ちょくちょく目を覚ました。台湾・中国で甚大な被害をもたらした台風8号は温帯低気圧に変わり、その低気圧にともなう寒冷前線は一時的に小倉谷に多量の雨をもたらしたものの、朝には小康状態となり、一時は濁流と化した川の様子も朝には穏やかに流れていた。そらは青空。

30分ほどで奥の二俣へ。山肌には日が差している。この谷に日が差すのももう間もない。


10mの滝は上部の乗越が難しい。ロープを使ってカムを支点にして空身で乗り越える。

5m程度の滝が連続して高度を上げる。次第に流量はなくなり、ガレ場へ。


笠ヶ岳山頂は目の前に迫る。
10:00双六谷パーティーとあらかじめ決めていた無線交信時刻。交信が取れる。双六谷パーティーは水量が多く、入渓を見合わせたとの事。

核心はここからだった。30cm角のガレが行く手を阻む。慎重にガレ場を詰め、支尾根から主稜線へ出たのが11:00。槍・穂高の眺めが最高。笠ヶ岳山頂では濡れたロープやタープを乾かしながらくつろぐ。

笠新道を経て新穂高へ。この日にうちに帰京するのは無理とのことで、最終のバスで平湯まで出る。タケが見つけた素泊まり1400円の超豪華温泉に泊まって旅行気分を味わいながら、翌15日帰京。

0 件のコメント: