2009年5月26日火曜日

岩場のセルフレスキュー

都岳連主催の、山のセルフレスキュー講座Ⅰ『岩場のセルフレスキュー』を受講してきました。5/21(木)、5/23(土)、5/24(日)3日間の講座。ちょうど先週、広沢寺でロープワークの練習をしていたのと、ほとんどの技術は過去に会のレスキュー訓練で練習していたものだったのでスムーズに理解できました。とはいっても理解しているのと実際にできるのとは全く違うので。教科書どおりに物事が運ぶことはないですね。かならずどこかでトラブルが起こります。フリクションノットが効きすぎて解除できないとか。振り分けのバランスを間違えてほんとに背負うハメになるとか。結び目を解きたいのに手が届かないとか。


■5/21(木)19:00-21:00 机上講習

机をどかしての講習なので正確には机上講習とは言わないのか。ここではロープワークの確認。部屋の中なので、実際にロープにテンションをかけない。確認した内容は、

リードビレー中の自己脱出
リーダーレスキューの一部で、ビレー状態から抜け出す方法。リーダーレスキューとは墜落などの事故でリードの救助が必要な場合のレスキュー方法。

セカンドレスキュー
セカンドが事故を起こし、救助が必要になった場合のレスキュー方法。ロープ1本をフリー状態にして、そのロープでセカンドの地点まで懸垂下降。救助して介助懸垂。2人重さが掛かるので、懸垂のバックアップが必要。


■5/23(土)実技講習 丹沢モミソ岩 くもり

モミソ岩は先週来た水無川本谷のほんのちょっと下流。支点の作り方から教わる。

レスキューは支点が命。安全を期すために環付ビナをつかう。

懸垂の仮固定
懸垂登り返し
自己脱出
介助懸垂
などなど、リーダーレスキューに必要な技術を練習。
ほか、
ディスタンスブレーキ
ジャンピングでリングボルトを埋める(特別講座)
ジャンピングは35分くらいがんばりましたが、もう少しというところでタイムアウト。

宿に戻ってフロと飯を済ませて夜の講習会。
エアレスキュー(ヘリの要請)の小話と搬送法。

懇親会して就寝。
外は土砂降り。


■5/24(日)実技講習 山岳スポーツセンター 雨

雨なので岩場はあきらめる。
宿からすぐ近くの山岳スポーツセンターの人口壁を借りて練習。


こんな立派な施設があったんですね。高さは15mです。壁の角度が変わります。雨をよけるためにハングにしてくれました。

支点構築
懸垂下降仮固定
懸垂の結び目通過
ディスタンスブレーキの結び目通過
総仕上げに、リーダーレスキューを通しで


レーダーレスキュー2組同時進行の図。

壁中の事故者を迎えにいって介助して降りてくるのがリーダーレスキュー。レスキューの中ではいちばん複雑な内容。
全員無事にこなしてレスキュー講座終了。
盛りだくさんな内容。

そして、今回教わった内容を来月、会員に還元するのです。

2009年5月18日月曜日

広沢寺&水無川

週末は会の訓練。
土曜日は、広沢寺の岩場で基本ロープワーク+マルチピッチ練習。
日曜日は、東丹沢の水無川流域で沢訓練。

予報に反して雨はそれほど降らず。

予定通りの訓練ができました。



*岩訓練*

■5月16日 くもりのち小雨 広沢寺
■メンバー(11人)
私、S津、M中、M浦、S原、U竹、S山、H光、K口、I嵐、K池
■概要
沢登りに必要なロープワークをメインに練習・確認。その後、マルチピッチシステムを練習して実践。最近入会した&入会予定のS原さん、H光さん、K池さんは、ロープワーク、マルチピッチともに基本的な部分は理解しているので、簡単に確認するだけですぐに実践。
■主な訓練内容
・8の字結び
・インクノット
・セルフビレイの取り方
・懸垂下降いろいろ
-半マスト、8環、ルベルソ、ETCでの懸垂
-仮固定
-登り返し
・中間での登り方
-フリクションノット
-各種アッセンダー
・マルチピッチ練習・実践


*沢訓練*

■5月17日 小雨 東丹沢水無川流域
■メンバー(10人)
(水無川本谷)L私、H、N澤、N村、U竹
(セドの沢左俣)LT城、S津、M中、S原、K池
■概要
人数が10人に減ったため、予定を変更して2パーティーで出発。水無川本谷では要所要所に鎖が張り巡らされているので不安材料は少ない。F5まで詰めて、書策新道で下山。その後、東屋で雨をしのぎながらロープワークの練習。1時間ほどの後、セドの沢のT城パーティーが下山。
N澤さんはフォローなら問題なく登れる。長丁場では体力が心配。U竹さんはアクアステルスで苦労していた。



雪のシーズンはもう終わり。
夏はどうしようかな~
沢も岩もやりたい。北アルプストレランにも興味ある。

といってもこの後1カ月くらい山らしい山には行けないのですが。。。

2009年5月7日木曜日

剱岳後編 八ツ峰上半

剱岳をまるごと楽しもうプラン登攀編。
滑降編に引き続き、パートナーはN島さん。

■5月4日(月)曇り
5:00剣沢BC~5:20長次郎出合~6:10熊の岩~9:10八ツ峰の頭~9:40三ノ窓~11:00長次郎左俣稜線~11:50長次郎出合~13:30剣沢BC
■主な登攀具
ロープ:2本(6mm×40m)、アルパインクイックドロー:4セット、スノーバー:3本、デッドマン:1個、ハーケン:3枚、バイル:1本、ピッケル:各1本、アッセンダー:各1、下降・確保器、アイゼン、ハーネス、ヘルメット

※ピッケルは各自、バイルは2人で1本。ひとりだけダブルアックスが可能。

気圧の谷が通過するだのしないだの、なにやら天気は芳しくない模様。午後から崩れるらしいので早い時間に行動を終えられるようにと、八ツ峰の上半だけとする。スキーを効果的に使ってアプローチ。長次郎出合までガリガリの斜面を滑り降り、熊の岩付近までシールで登る。長次郎谷を先行していた4人パーティーも八ツ峰上半を登るようだ。

スキーは熊の岩付近にデポ。登攀の準備をして、Ⅴ・Ⅵのコルに向けて雪壁を登り始めることとする。それにしても兼用靴は20~30度くらいの斜度を登るのはなかなか疲れる。Ⅴ・Ⅵのコルにたどりつくまでだいぶ消耗してしまった。Ⅴ・Ⅵのコルにはテント跡がいくつかある。先行パーティーはⅥ峰の雪壁を登っている最中。

Ⅵ峰の急な雪壁。トレースはばっちり着いている。おかげでロープなしで登れる。

Ⅵ峰の下降、先行パーティーはスノーボラードで懸垂。
スノーボラードやったこと無い。。。
聞けば国際山岳ガイドの率いるパーティーだった。

ここは、まずは私がダブルアックスでクライムダウン。トレースはバッチリなんだけど堕ちたらシャレにならないので慎重に降りる。N島さんはピッケル1本。下からロープで確保してクライムダウン。

ナイフリッジもトレースバッチリで恐怖感なし。


Ⅶ峰の懸垂下降は、先行していたガイドパーティーのロープを使わせてもらうことになった。それで先行させてもらう。あとはちょっと急な雪壁を登ってⅧ峰の頭へ。あっけなく2時間ちょっとで終わってしまった。トレースのおかげ。


N島さん。Ⅷ峰の頭にて。

時間があるのでチンネを見るために池ノ谷を下って三ノ窓まで散歩。数パーティーが取り付いている。


チンネ。夏に来たときは霧で全貌を見渡せなかった。

池ノ谷の登り返しはけっこうきつい。長次郎左俣まで稜線を歩いてそのまま長次郎谷をグリセード&シリセード。スキーをピックアップして滑降。剣沢登り返し。剣沢の小屋でビールを調達。


■5月5日(火)晴れのち曇り
7:30剣沢BC~8:30室堂乗越~10:00室堂ターミナル~12:00扇沢~13:00大町~22:00帰宅

予報に反して朝方は快晴。奥大日を狙う。雪が緩むのを計算してゆっくり出発。ところがいつの間にか剣は雲の中に姿を消す。風も強くなってきた。室堂乗越まで行くも、やはり風が強いので撤退。そのまま下山を決める。帰りのアルペンルートでは山岳ガイドの江本さんと遭遇。おしゃべりしながら下山。大町に着いてフロ→メシ→バス&ビール。意外と渋滞少なかった。

2009年5月6日水曜日

剱岳前編 本峰北壁滑降

剱岳をまるごと楽しもうプラン。
剱岳の滑降と登攀をどっちも楽しもうという贅沢な企画。
N島さんと行ってきました。
N島さんは一足先に4月29日から剣沢入り。


■5月1日(金)
21:00JR八王子~24:00松本

上高地入りするM中さん、K島さんの車に松本まで便乗。小仏トンネル付近40km以上という渋滞予想にビビリながら出発するも、実はほとんど渋滞なし。ETC割1000円が確定する24:00を過ぎて松本ICを降りて松本駅でろしてもらう。M中さん、K島さんはそのまま沢渡へ。私は贅沢に宿泊。


■5月2日(土)晴れ
7:30松本~10:00扇沢~13:00室堂~15:30剣沢BC


松本から兼用靴を履いて電車で移動。大町からのバスはガラガラ。扇沢は連休初日ということで混雑。



約1ヶ月前に湖面を歩いて横断したときはしっかり凍っていた黒部湖もいまやすっかり解けている。

アルペンルートのロープウェーは1時間待ち。室堂では日焼けしたN島さんが出迎えてくれた。荷物を分担してもらう。すでに4日目となるN島さんは雷鳥荘で風呂を浴びるということで、テントの場所を聞いてさきに歩き出す。剣御前の小屋までは1時間ちょっとの登り。ちょっと足を伸ばして剣御前まで登る。快適な斜面を滑る。でも荷は重い。



あまりに天気が良すぎる。テントの前でしばらく剱岳に見入る。
N島さんが買っててくれたビールで乾杯。

N島さんはすでにダイレクトクーロアールを滑ったとの事。ということで照準は北壁に。記録を読む限りでは、核心部は50度を越えるとのこと。


■5月3日(日)晴れ
6:40剣沢BC~7:00長次郎出合~10:00剱岳~11:00長次郎出合~12:50剣沢BC


スキーで剱岳のピークを目指すなら平蔵谷が近いが、今回の照準は北壁。長次郎谷を登ってじっくり眺めることにする。まだ硬い剣沢を長次郎出合まで滑り降りる。出合からはクトーを付けて登り出す。八ツ峰にはすでに数パーティーが取り付いているのが見える。

熊の岩付近でひと息。ここまで1時間少々。
北壁をじっくり観察。


1本の白い筋が北壁を左右に二分する。これをおいて他に滑るラインはない。核心となるノドの部分には喉仏というべきか、岩が出ているのがわかる。これをいかに通過するかがポイントだろう。この距離感ではターンできる幅かどうかわからない。

陽があたり、徐々に雪面が緩んでくる。
長次郎谷左股を詰め上げ、稜線からはアイゼン・ピッケルに替えて登り出す。最初は急な雪壁。乗越すといよいよ剱岳のピークが見えてくる。途中、エントリー箇所を確認する。ピークで記念撮影を終えるて、いよいよ滑降。

まずは稜線伝いにコル付近まで滑る。稜線から40度を越える斜面にN島さんが先にエントリー。私も続く。稜線を滑っている最中はもうちょっと雪面が緩んだほうがいいかとも思ったが、急斜面で落差の大きいターンを支えるにはこれくらいの支持力がある雪のほうが滑りやすい。

快適にターンを数回こなし、核心部のノド手前で一旦とまる。核心部は両側に切り立った岩がそびえる。その間の狭い隙間を縫うように抜けなければならない。なにより、核心部の入り口には喉仏と呼べそうな岩が、真ん中に突き出している。

ここは私が先にエントリー。斜度は50度を越える。喉仏は思った以上に狭い。喉仏左の通過は論外。いくぶん広い右側の通過を考える。しかしここでターンを決めるにはその先があまりにも狭く余裕がない。横滑りで降りることにする。板の長さギリギリの幅の喉仏を通過。そのあとも極狭のノドが続く。横滑りと1回のジャンプターンでノドを通過してようやく45度の広い緩斜面に抜ける。


『45度の緩斜面』
新潟RのO川さんの言葉。
初めて耳にしたときは、なんとクレイジーな。。。
と思ったが、今にしてようやく理解できる。


アックスを刺してセルフを取って、N島さんを待つ。


N島さんも丁寧にノドを通過してくる。

あとは45度の緩斜面を滑って長次郎谷へ。
快適なザラメを飛ばして剣沢へ。500mの登り返し。
剣沢小屋で買ったビールで乾杯。



登攀編へ