2009年5月6日水曜日

剱岳前編 本峰北壁滑降

剱岳をまるごと楽しもうプラン。
剱岳の滑降と登攀をどっちも楽しもうという贅沢な企画。
N島さんと行ってきました。
N島さんは一足先に4月29日から剣沢入り。


■5月1日(金)
21:00JR八王子~24:00松本

上高地入りするM中さん、K島さんの車に松本まで便乗。小仏トンネル付近40km以上という渋滞予想にビビリながら出発するも、実はほとんど渋滞なし。ETC割1000円が確定する24:00を過ぎて松本ICを降りて松本駅でろしてもらう。M中さん、K島さんはそのまま沢渡へ。私は贅沢に宿泊。


■5月2日(土)晴れ
7:30松本~10:00扇沢~13:00室堂~15:30剣沢BC


松本から兼用靴を履いて電車で移動。大町からのバスはガラガラ。扇沢は連休初日ということで混雑。



約1ヶ月前に湖面を歩いて横断したときはしっかり凍っていた黒部湖もいまやすっかり解けている。

アルペンルートのロープウェーは1時間待ち。室堂では日焼けしたN島さんが出迎えてくれた。荷物を分担してもらう。すでに4日目となるN島さんは雷鳥荘で風呂を浴びるということで、テントの場所を聞いてさきに歩き出す。剣御前の小屋までは1時間ちょっとの登り。ちょっと足を伸ばして剣御前まで登る。快適な斜面を滑る。でも荷は重い。



あまりに天気が良すぎる。テントの前でしばらく剱岳に見入る。
N島さんが買っててくれたビールで乾杯。

N島さんはすでにダイレクトクーロアールを滑ったとの事。ということで照準は北壁に。記録を読む限りでは、核心部は50度を越えるとのこと。


■5月3日(日)晴れ
6:40剣沢BC~7:00長次郎出合~10:00剱岳~11:00長次郎出合~12:50剣沢BC


スキーで剱岳のピークを目指すなら平蔵谷が近いが、今回の照準は北壁。長次郎谷を登ってじっくり眺めることにする。まだ硬い剣沢を長次郎出合まで滑り降りる。出合からはクトーを付けて登り出す。八ツ峰にはすでに数パーティーが取り付いているのが見える。

熊の岩付近でひと息。ここまで1時間少々。
北壁をじっくり観察。


1本の白い筋が北壁を左右に二分する。これをおいて他に滑るラインはない。核心となるノドの部分には喉仏というべきか、岩が出ているのがわかる。これをいかに通過するかがポイントだろう。この距離感ではターンできる幅かどうかわからない。

陽があたり、徐々に雪面が緩んでくる。
長次郎谷左股を詰め上げ、稜線からはアイゼン・ピッケルに替えて登り出す。最初は急な雪壁。乗越すといよいよ剱岳のピークが見えてくる。途中、エントリー箇所を確認する。ピークで記念撮影を終えるて、いよいよ滑降。

まずは稜線伝いにコル付近まで滑る。稜線から40度を越える斜面にN島さんが先にエントリー。私も続く。稜線を滑っている最中はもうちょっと雪面が緩んだほうがいいかとも思ったが、急斜面で落差の大きいターンを支えるにはこれくらいの支持力がある雪のほうが滑りやすい。

快適にターンを数回こなし、核心部のノド手前で一旦とまる。核心部は両側に切り立った岩がそびえる。その間の狭い隙間を縫うように抜けなければならない。なにより、核心部の入り口には喉仏と呼べそうな岩が、真ん中に突き出している。

ここは私が先にエントリー。斜度は50度を越える。喉仏は思った以上に狭い。喉仏左の通過は論外。いくぶん広い右側の通過を考える。しかしここでターンを決めるにはその先があまりにも狭く余裕がない。横滑りで降りることにする。板の長さギリギリの幅の喉仏を通過。そのあとも極狭のノドが続く。横滑りと1回のジャンプターンでノドを通過してようやく45度の広い緩斜面に抜ける。


『45度の緩斜面』
新潟RのO川さんの言葉。
初めて耳にしたときは、なんとクレイジーな。。。
と思ったが、今にしてようやく理解できる。


アックスを刺してセルフを取って、N島さんを待つ。


N島さんも丁寧にノドを通過してくる。

あとは45度の緩斜面を滑って長次郎谷へ。
快適なザラメを飛ばして剣沢へ。500mの登り返し。
剣沢小屋で買ったビールで乾杯。



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2 件のコメント:

Yoko さんのコメント...

お帰り
読んでてひやひや、だけどさすが。
「45度の緩斜面」 クレイジーすぎ・・・

タケ さんのコメント...

これだけ危険な急斜面は初めて。
新しい興奮を覚えたよ。
「45度の緩斜面」お試しあれ~