2008年8月21日木曜日

剱の裁き

雪と岩の殿堂剱岳は、雨と雷の殿堂でもありました。

お盆休みで行った剱岳。
合宿という位置づけで4パーティー計9名が剱岳入り。
パーティーごと期間やベースを変えて入山。
終盤は同じベースに3パーティー7人が集結。
同じ釜の飯を食った。
これぞ合宿の醍醐味。


剱岳


私が入ったのは、13日(水)~17日(日)の4泊5日。
Nリーダー、M女史、私の3人パーティー。

そしてこの期間中、ずいぶんと雨に祟られました。
時間にして4分の3以上雨が降っていたのではないかな?
しかも猛烈な雷雨がほとんど。
ボロテントでずぶ濡れになって惨めに過ごしたのもまた思い出。



■8月12日(火) 晴れ
  • 都内を夜8時半に出発。いつもより早めの出発。
  • 豊科ICは11時30分に降りる。ETC割引より時間を優先した。
  • 扇沢の駐車場は意外に空いている。つかの間の睡眠をとる。


■8月13日(水) 晴れのち雨
  • 立山黒部アルペンルートを経て室堂へ。ベースに向かって移動を開始する。
  • 正午、無線にてS-Mパーティーと交信。S-Mパーティーは1日早く剱岳入りしていた。チンネ左稜線終了点にいるという。
  • 真砂にベースを構え、この日は夜中の1時に行動を開始したとのこと。長次郎谷ですれちがい情報交換。
  • 午後3時くらいから雨に降られる。雨は一晩中続く。


■8月14日(木) 雨-雷雨
  • なんだかパッとしない天気。行動開始はヘッデン無しで行動できる朝4時40分。チンネ左稜線を目指す。
  • 池ノ谷ガリー、三の窓を経て左稜線取り付きへ。ここで無情の雨。
  • 他のパーティーは全員退散。我々も名残惜しみながらベースへと戻る。
  • 昼過ぎから猛烈な雷雨。10分程度の雷雨が何度も何度もやってくる。ボロテントの中は水浸し。
  • 4-5人テントに7人入って晩御飯のカレーを食べる。


■8月15日(金) 濃霧-晴れ-雨
  • 濃霧のためチンネ左稜線リベンジをあきらめる。
  • 午前中に天気が回復したので八峰Ⅵ峰Aフェースに向かう。取りつきで雨に降られる。Ⅲ級の壁がフリーで抜けられない。濡れているからということにしよう。
  • 夕飯準備中にまた雨。7人でマーボー春雨を食べる。

右からⅥ峰A, B, C, D峰


■8月16日(土) 雨-晴れ-雨
  • 登攀できる最後の日。やはり雨でチンネ左稜線は無理。
  • 午前中に天気が回復したので八峰Ⅵ峰Cフェースに向かう。
  • 下山時にはまたまた雨。ずっと雨。夜は雷雨。

今日は源次郎尾根もきれいに見える


A峰と長次郎谷


■8月17日(日) 雨-晴れ
  • 下山。
  • 雨が降ったり止んだり。ときどき日が差す。
  • 室堂発13:00のトローリーバス。
  • 黒部ダムの辺りではすっかり晴れている。
  • 温泉は薬師の湯、飯はすきや。
  • 帰京。


~ 雪渓の状況 ~

長次郎谷は熊の岩までは雪がびっしり。熊の岩より上方ではクレパスが大きく開いている。一見危険そうだが、実際は浅く、踏み跡もしっかりしている。上部は斜面が急になるが、12本爪のアイセンを蹴りこんで、ロックハンマー代わりに用意した沢バイルをついて容易に登ることができる。4本爪アイゼンなど前爪のないアイゼンを用意した人は下山で相当苦労していた。ここは重くとも前爪のアイゼンを用意したほうが無難だ。


~ 気温 ~

思いのほか寒い。軽量化を優先して寝具はシュラフカバーのみ。衣服については、上は薄手の長袖と防寒用の羽毛服下は薄手のパンツのみ。ちょっと寒かった。毎日カッパを着用して寝る。カッパを着用したのはテントの中がびしょ濡れだからという理由もあったが。。。
最後の晩にちょっと油断。羽毛服をびしょびしょに濡らしてしまった。でも他に着るものが無いから着干しで。体が濡れて寒い。カッパの外に着ればよかったのかな。


~ 事故・ヒヤリハット・その他 ~
  • K嬢、指に落石を受ける。幸い小石だったが、鋭利だったのでスパッと裂傷。治療を受けるも、これにてクライミング終了。
  • M女史、巨石を抱きかかえて墜落。フォローだったので大事には至らずも脚に打ち身、擦り傷多数。
  • Nリーダー、池の谷ガリーで岩雪崩に巻き込まれる。
  • 私、ヌンチャク残置。翌日回収。

~ 感想 ~

とにかく雨また雨そして雨。
これでもかというほどの雨。
空に悪態をつけば今度は雷雨。
富山では床上浸水があったそうな。
こちらはテント内プール状態。
テントで溺死なんて洒落にもならないのでバケツリレーで水をかきだす。

我々3人パーティーより先に入っている3パーティーは皆チンネ左稜線を登っている。
NリーダーもM女史も、チンネ左稜線に数年来の思いを込めて剱岳にやってきた。
それでもこの仕打ちか。
またくるぞ。


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