2008年10月25日土曜日

一ノ倉沢 南稜~国境稜線&変形チムニー

週末、一ノ倉登ってきました。
18日(土)烏帽子沢奥壁南稜~国境稜線~巌剛新道
19日(日)変形チムニー

カメラは諸事情で持っていけなかったので、今回の写真はI籐さんの写真をリンク。

すごく良かったです。
何が良かったかというと天気が良かった。
なんとお盆からずっと降られ続けた雨がこの週末ときたら超ピーカン。
しかも紅葉は谷川岳中腹~山麓にかけて鮮やか。
気持ちいいです。

今回は私がリーダーを務める。
実は今回が初リーダー。不安がイッパイ。

メンバーは大先輩のO村さん、
ナチプロマスターのI藤さん、
クラック嬢のK島さん、
アルパイン1年生のT巳さん。
ちなみにT巳さんは18日だけの参加。


今回のルート選定で、国境稜線にはちょっとこだわった。
私が6月にアルパインデビューを果たしたのは、まさにこの南稜なのだが。
そのときには懸垂で下降したわけで。
なんか谷川岳をほんのちょっと触っただけで終わった感じがした。

一ノ倉~国境稜線~山頂は谷川岳のスケールを感じるために行きたかったルート。
これは時間がかかるので登るルートは一番簡単な南稜に決める。



18日(土) 南稜~国境稜線~巌剛新道

  • 4:50 谷川岳ロープウェー発
  • 6:00 一ノ倉沢出合出発
  • 8:45 南稜テラスから取付
  • 12:05 南稜終了点
  • 14:30 一ノ倉岳
  • 15:40 トマの耳
  • 18:30 マチガ沢出合
  • 18:45 一ノ倉沢出合
この時期は金曜夕方~日曜夕方にかけて車両規制。
登山指導センター~一ノ倉沢出合までは徒歩約一時間。
テントやら食料は一ノ倉沢出合にデポ。



日の出前、一ノ倉沢の上に浮かぶ月をカメラに収めようと写真家がたくさんいました。

雪の無い時期のアプローチは初めて。
ヒョングリの滝付近は右岸から巻いて懸垂下降で再び川床へ。
テールリッジに取り付く。

懸垂点には2パーティー7人くらい。
テールリッジには2パーティーくらい。
後続にはさらに2パーティーくらい。
この時期にはこれでも少ないほうかもしれない。

南稜に到着。
1. K島-T巳
2. I藤-O村-私
という編成で登る。

核心の最終ピッチはT巳さんはフリーでリード。
徐々に傾斜が強くなって最後1mくらいが垂直。
この一手が微妙に難しい。
丁寧にさぐってガバを見つけるべし。


写真はO村さんのリード。

さて、ここからが醍醐味。
国境稜線へ抜けます。

南稜終了点~烏帽子尾根は、脆いスラブ、ルンゼ、笹藪を交えて登る。
残置ハーケンがいくつかあるも、特にロープを必要とする場面はない。
烏帽子尾根からは明瞭な踏み跡が続く。

5ルンゼの頭は脆い岩場。I藤さんがリードでロープをフィックスして全員登る。



天気も景色もいい。
気持ちがいい。

国境稜線はもう目の前。
笹薮の中の踏跡をたどる。

南稜終了点から約二時間。
一ノ倉岳の稜線にでる。山頂で固い握手。





山頂、西黒尾根を経て下山。
巌剛新道途中で日が暮れてヘッデン下山。
マチガ沢出合到着。
T巳さんとはここでお別れ。


19日(日) 変形チムニー

  • 6:30 一ノ倉沢出合出発
  • 8:50 変形チムニー取付
  • 14:30 烏帽子岩直下
  • 17:00 南稜テラス
  • 20:00 一ノ倉沢出合

前日、遅い下山の割りに豪華な料理で宴会を設けたおかげで朝はちと遅い。
再びのテールリッジ。
時間が遅いせいか、前日は待たされた懸垂下降は全然待たない。
懸垂下降中、対岸にはフィックスロープがずっと下流まで張ってあるのに気が付いた。
これはなんだろう?
後ほど下山時にこのロープに惑わされることになる。


編成は、
1. O村-私
2. I藤-K島


  • 1P目(50m):私:
朝イチから少ない支点で多少ビビり気味。
すでに10mくらいランナウトしているのに、『(ロープ残り)あと5メートル』の声。
やばい、、、支点が、、、
あった!
  でもボロい、、、

その2メートル上には立派なペツルが2個。ビミョーに届かない、、、
ボロ支点でセルフを取って、ビレー解除。
何とか伸ばしてペツルから支点を取る。
本当は途中で一回切るべきなのだろう。


  • 2P目(40m):O村:
右の小ルンゼを登るもかなり悪いが執念で抜ける。
変形チムニー手前で切る。


  • 3p目(40m):私:
変形チムニー。
背中、脚、腕を突っ張ってのぼる。
ガバなので登りやすいのだがとにかく窮屈だ。
ザックの中のお菓子がバリバリ割れる音がするよ。
チムニーを抜けてそのまま直登。


この隙間を登ります。中にO村さんがいますよ。


  • 4p目(50m):O村:
トラバースして中央カンテに合流するピッチなのだが。
右上して間違いに気づき、クライムダウン。
正解は下降気味にトラバース。

どこまでトラバースするのか?

O村さんはボロボロの中央ルンゼを詰める。
ロープいっぱい伸ばして尖った石でビレー。
残値のピトンは多数。
でもこのボロさ加減、終了点の貧弱さを考えると登るべきルートではないと思う。

ちなみにI藤-K島Pはトラバースを長くして中央カンテに合流。


  • 5p目(20m):私:
垂壁の一段手前で切る。

  • 6p目(20m):私:

ここが核心の垂壁。
距離で言えば前のピッチから継続できるのが、核心部を前に一旦切る。
近づくと本当に垂直。高さ2mそこそこなのに迫力がある。
真ん中にはしっかりした支点が連打。
左にはピナクル、というかでかいフレーク。

作戦を考える。
ピナクルを使うか?

でもここはしっかりした支点があるし、すぐ下でO村さんがビレーしているので、思い切って真ん中を突っ切る。
右よりのカチを使って一段乗りあがるとそこはガバだらけだ。
腕力で登る。

そのすぐ後、コーナークラック。
このクラックは取りつくも、垂壁で萎えたのでギブアップ。


  • 7p目(50m):O村:
コーナークラックにはしっかり効いたナッツが残置されてある。
レイバックで超える。
そのまま50mいっぱい伸ばす。

烏帽子岩がすぐそこに見える。


  • 8p目(50m):私:
草付きを交えて烏帽子岩下まで。
ここでのセカンドのビレーは景色が最高。
グラビアビレー点としたい。

トポには無いが、ここで懸垂した形跡がある。
様子を見て下降を決める。



  • 下降:
7ルンゼ?に空中懸垂で降り、笹藪をトラバース。
笹藪にはフィックスロープもあった。
懸垂1Pで南稜最終ピッチの取付に出る。
以降、6ルンゼを下降。南稜テラスへ。

O村さんはテールリッジを先に下降。
私はI藤さん、K島さんを待って下降。

テールリッジは初めからヘッデン下山となった。
朝に見た左岸のフィックスロープ。
これで降りられるだろうという判断は間違っていた。
結局登り返して、登ったルートを下山。

一ノ倉沢出合に戻ったのは8時。
先に下山したO村さんは車を回して待っていてくれた。


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