2008年11月6日木曜日

三連休に岩三本

内容の濃い3日間。
登攀力、ルート判断など未熟さが露呈した部分もあり。
それでもなんとかして突破したという経験は自信になった。
そういえば3日間連続の岩の経験はこれまでにない。
体力的にもちょっと自信がついた。

メンバーはリーダーN島さん、O村さん、I藤さん、私の4名。
3連休で谷川岳の岩場3本という計画を掲げる。
雨の転進などもあり実際は、
  • 1日目:榛名黒岩でフリークライミング
  • 2日目:幽ノ沢中央壁左フェース敗退
  • 3日目:幽ノ沢中央壁正面フェースヘッデン下山(一部ヘッデン登攀)
という具合。


事前の情報では谷川岳はすでに雪を頂いたという。
予報では、土曜の午前中の弱い雨のほか天気が崩れる心配はなさそう。

満天の星空の下、意気揚々と金曜夜に一ノ倉沢出合に入ってテント泊。




11月1日(土)

あけて土曜朝。

土砂降り。。。

一瞬、強風がテントを襲う。
フライがめくりあがりテントの中に雨がしみこむ。
テント内プール状態はもう慣れっこですが。。。
とりあえず雨のあたらないところに避難して朝食。

日本海側は天気が悪いらしい。
関東で天気が悪いのはここだけか?
谷川岳周辺の沢を予定していたS山パーティーと合流して榛名黒岩のフリークライミングに転進。
ちなみにフリークライミングのゲレンデでまともに登るのはこれで四度目。
谷川岳の岩場に来た回数より少ない。

しかしここは人が少ない。
首都圏からそんなに遠くないんだけど。



5.9とグレーディングされているがどうみても5.7のスラブは初めてのリード練習とかにちょうどいいかもしれない。

一ノ倉沢出合まで戻ってテント泊。



11月2日(日)
幽ノ沢中央壁左フェース
(敗退)

5時起き。すごく天気がいい。
谷川岳をフレームにおさめようとする写真家がたくさん。
駐車場はすでに満杯。


雪を頂いた谷川岳は山頂だけが白く、ふもとは紅葉で鮮やか。




この日のルートは幽ノ沢中央壁左フェース。


ここは近年ルートが崩壊して登れなくなったと聞く。

登れるところまで登る。
途中からの転進や、場合によっては敗退も覚悟で臨んだ。



これが幽ノ沢中央壁。

雨、雪解け水で岩場は濡れている。
T1と呼ばれるテラスまではアプローチとされているが。
そこへ行くのにも一苦労。
ロープを結んで2ピッチでようやくT1に至る。

幽ノ沢は、有名な一ノ倉沢が隣に位置するがために、これだけの規模の岩場を持っているにもかかわらず人影は薄い。
この日は我々4人で幽ノ沢を独占。

人が入らないということはルートが整備されていないということ。
正しいルートをたどってもまともな支点は少ない。
ましてルートをはずすと、10mくらいのランナウトはザラにある。



崩壊したというのはルートの核心でもあるZピッチの箇所のようだ。
Zピッチはハング下を右にトラバースしてからハング上に抜けるルート。
いまやハングは崩壊して半分くらい欠け落ちている様子。
とてもトラバースできる状態ではない。

トラバースではなく、直上するルートもある模様。
しかし、ビレー点には壊れたペツルと錆びたリングボルトがあるのみ。
何より濡れた岩が前進を困難にしている。

ひとまず壊れたペツルの5m下までクライムダウン。
ハーケンを2枚打ってビレー点をつくる。

N島さん、壊れたペツルの隣にリングボルトを打ち込む。
まずはビレー点を上に上げる。

しかし濡れた岩ではここまでが限界。
前進するためにはもうひとつリングボルトを打ち込む必要があった。

敗退を決める。
新しく打ち込んだリングボルトは懸垂下降の荷重に耐えるのには充分だった。


11月3日(月)
幽ノ沢中央壁正面フェース

前日に次いでこの日も幽ノ沢。
アプローチは前日とはルートを変える。
展望台と呼ばれる尾根にあがり、懸垂下降で沢床に降りる。
その後は沢通しで。
豆腐岩の右から登攀開始となるのだが、やはり濡れているので早めにロープを結ぶ。




このルートはハングの切れ目を乗り越える箇所が核心。
ここでルートファインディングの未熟さが露呈した。

先行のN-Iパーティーは右にルートを取った。
左に見えるルートにハーケンが連打されているのを下から確認した私は、左にルートを取った。
しかし、傾斜がきついのと濡れているのとで全く登れない。
スリングをアブミ代わりにして3手ほど進むが、あと一手というところで支点がなく、ついにはカラビナを残置して下降する。

結局N-Iパーティーと同じく右を登ることになった。
途中でピッチをきった事情もあり、1時間ほどの遅れをまねく。




ここからは3級程度のスラブで簡単に登りきれるはずだった。



簡単にいかなかったのは濡れていたことが最大の原因だろう。
しかも少しでもルートをはずすと支点が全くない状態。
笹藪を束ねて支点をつくり、ビレー点とする。
とてもハンギングビレーをする勇気はない。

とうとう岩場を抜けて笹薮に突入したタイミングで日が暮れる。
ヘッデン着用となる。
笹薮といえど、ロープははずせない傾斜。
まぁ、岩場を抜けていた分だけラッキーだったといえるか。

途中雨に降られたときには絶望したが。
幸い雨はすぐに止んだ。

霧が出て視界が狭まる。
暗闇の霧は距離感を狂わすようだ。
先に稜線に上がったN-Iパーティーのヘッデンの明かりがすごく遠くに感じた。
まだまだ遠いという印象が疲れた体にこたえる。
実際は50mロープで届く距離なのに。


中芝新道までのルートは真っ暗な中、踏み跡を見失わないようにたどる。
この日16時間を越える行動時間。




1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ルーファイ違い?
気にしない×2 (^^)

登ってみなきゃ判らないさ

実際、妥協せずに登ってみてよかったでしょ?結果はともかく登ろうと思ったラインを試せて。あれは君だけのクライミング。

個人的にはルーファィ違いは取付までカールボーデン右の岩尾根を行かなかったことだと思う。かなりの時間が節約できたと思うけど、これも登ってみなきゃ判らない・・・・一番嫌なのはこういう風に後になってから、登ってみたら良かったな、って思うこと(--#)