2009年12月10日木曜日

八ヶ岳 小同心クラック・中山尾根

12月5日・6日の週末、会の雪山はじめ企画。

30人以上のメンバーで八ヶ岳の行者小屋のテン場にベースを構える。
これだけのメンバーが集まる山行は初めてかも。
各々がパーティーを組んで登攀したり縦走したり雪訓したり。

私は初日は、N島さんと小同心クラック。
2日目はS原さんと中山尾根を登ることに。

2日目の中山尾根では事故寸前の出来事があったのであわせて報告します。無傷での生還は奇跡のようなものかと。



■12月5日(土)くもり→雪 5:00美濃戸口~5:45美濃戸~7:30赤岳鉱泉~10:00小同心クラック取付き~12:10稜線~13:30赤岳鉱泉~14:50赤岳鉱泉発~15:30行者小屋
■ルート:小同心クラック
■メンバー:N島さん(リーダー)、私

深夜0:05に諏訪南ICを降りてコンビニに寄って美濃戸口へ。30人以上のメンバーのほとんどはまだ到著していない。朝も早いし、雨の心配も無いし、後から到著するメンバーに煩わされることも無いようにと、テントを張って寝ることにする。

4:00起き5:00発。真っ暗の中、美濃戸まで林道を歩く。眠くて半分目をつぶって歩いていたようなもの。途中車に抜かされたが、聞けばS藤H明さんパーティーの車だったとのこと。美濃戸のベンチで倒れこむ。しかしここは眠気を振り払って再び赤岳鉱泉に向かって歩き出す。

林道終点でスニーカーから冬靴に履き替える。雪は皆無かと思っていたので、少ないなりに積もっていたので少々安心。赤岳鉱泉到着、アイスキャンディーもまだまだ。荷物をデポして大同心稜を登る。しばらく山をサボっていたのと、眠いのと、病み上がりなのと。急登がこたえる。

大同心稜。大迫力で大同心が迫ってくる。が、ときおり霧で見え隠れする。午後から天気は崩れるということで、その前兆。風も徐々に強くなってきている。大同心基部からルンゼを横切って小同心基部へ。クラックなので岩の隙間に入れば風をよけられて寒くないはず。

そういえば1年前もN島さんと赤岳主稜を登ったが、その時の寒さに比較すれば今回の寒さは屁でもない。八ヶ岳にも着実に温暖化の波が寄せているのか。

ここからはアイゼンと手袋で岩登り。1ピッチ目は私がリード。ホールドもスタンスも大きいので、傾斜がある割りにはサクサク登れる。支点も適度にある。2ピッチ目はN島さんリード。長めのチムニーのピッチ。最終ピッチは、あれっ?5mくらいで終了。

岩稜帯を登って横岳頂上へ。風がだんだん強くなってきた。登攀具をしまって下降開始。大同心稜を下降。この周辺の登攀後の定番下降ルートということだそうで、ここは覚えておかなければいけない。風が強くなって雪も降り出した。砂粒・雪粒がバチバチ当たる。樹林帯に入ってようやく落ち着きを取り戻す。下降途中、裏同心ルンゼを登ってきたというパーティーに遭遇。氷は予想通り薄かったとのこと。

赤岳鉱泉の小屋で一休み。M島さんT中さんA元さんに遭遇。コーラを飲んでラーメンを喰らって至福のひとときを過ごす。重い腰を上げてデポ品を回収して行者小屋へ向かう。中山乗っ越しまでの登りが異常にこたえた。夜は強風のち無風快晴。



■12月6日(日) 晴れ 6:00行者小屋出発~7:10下部岩壁到着~8:00登攀開始~10:00上部岩壁取付~12:00稜線~13:30行者小屋
■ルート:中山尾根
■メンバー:S原さん、私(リーダー)

ヘッデンを点けて行者小屋を出発。中山乗越までは10分少々。くるぶし~すねのラッセルで約1時間。やせ尾根手前で3人パーティーに先を譲る。先行パーティーが正面の岩峰に取り付いている最中、我々は右側のルンゼに狙いを定める。私リードで登り始めるも、墜落(後述)。S原さんにリードを交代。S原さんは微妙なMIXルートを巧みに登って、立木でビレー。支点は潅木など。稜線まで少しの距離を残していたので、2ピッチ目を私がリード。その後稜線に出てコンテで上部岩壁の取付きに進む。

登攀準備を整え、10:00の無線交信をとる。ここでは前日に中山尾根を登ったA久さんと交信がとれ、アドバイスを頂く。私リードで凹角を登り、ハング下のテラスに出る。支点はペツルとハーケン。ハングには支点が豊富。ハングの抜け口でビレー。2ピッチ目は岩稜帯をS原さんがリード。50mほぼ一杯に伸ばす。3ピッチ目は左に草付きを登って一旦テラスに出て、さらに左の草付きを登って岩稜を越えたところでビレー。

最後はバンドを伝って稜線の登山道に抜ける。登攀具の片付けをしながら、12:00の無線交信。阿弥陀北西稜のA山・N島P、赤岳主稜のY田・N村Pがちょうど登攀を終え、それぞれピークにいるとの連絡を受ける。地蔵尾根を下降して行者小屋へ戻る。

続々と登攀組が戻る。下山遅れのパーティーがあるも、16:10全員無事行者小屋ベースに戻る。下山は途中からヘッデン。凍りついた登山道が滑る。



■墜落レポート
・場所:中山尾根下部岩壁右のルンゼ取り付き
・日時:2009年12月6日7:30ごろ
・当事者:私(リード)
・他メンバー:S原(ビレー)
・内容:7~8mの墜落
・怪我など:なし

【詳細】
先行パーティーが正面岩峰に取り付いていたタイミングで、我々は右側のルンゼを登ることにした。支点などは無いようだが、潅木などを利用して登れると判断。急な雪の斜面に足場をつくり、潅木でビレー点をつくって私がリードで登攀を開始。いくつか取付きを偵察し、狭いチムニー状に決めて登り始める。

チムニーを越えた所の狭い足場付近約5mで貧弱ながらも潅木で支点をとる。狭い足場から太ももの高さに草付きの段があり、それより上で傾斜がいくぶん緩んでいる。緩んだ傾斜の草付きにバイルを刺す。がっちりとは効いていなかった。太ももの高さに上げた左足に乗り込もうとするも、体重が後ろにかかり、バランスを崩す。効いてないバイルはすぐに外れ、体は後ろに倒れるように宙に投げ出された。

S原さんの足元の急な雪の斜面に落ち、少し流され、ロープにテンションが掛かって止まる。貧弱な潅木の支点は折れていた。ロープはチムニー状の岩の上部で折り返され、それが支点代わりになった。

【考察】
いくつかの幸運が重なった結果、無傷で済みました。
・墜落地点が急な雪の斜面だったこと
・ロープがチムニー状の岩で折り返されたこと

【判断の誤り】
・登られているルートであるにも関わらず、支点がないルートを選択して取り付いたこと
・自分が登れるルートかどうかの見極め
・不安定なホールド・スタンスでも突っ込んだこと

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